鎌倉時代から続く集落の中に建つ戸建て住宅の計画です。
敷地は相続により分割された一区画で、南側の隣地にも新たに住宅が建てられることだけがわかっていました。明るい住空間と子ども達が安心して遊べるプライベートな庭がほしいというクライアントの要望に対し、条件が不確かな隣地に期待をするのではなく、既にある周辺環境を注意深く読み取り、敷地に2つの箱を配置しました。2つの庭をつなぐ三ツ辻投げ出された箱は街に属する空間です。隣地のすき間から三ツ辻に向かって流れる光と風を受け止めます。
前面道路からワークスペースへ出入りする扉は、W1.65m×H3.20mという一般的な住宅のスケールを超えた大きな設えの引き戸としています。玄関扉を開けるという日々の生活で何気なく繰り返される行為が、住宅を社会に接続する行為なのだと喚起させることを目指しました。
意匠設計:山下真平建築設計事務所
設計監理協力:ナカノアトリエ,みなこ建築設計事務所
構造設計:ハシゴタカ建築設計事務所
施工:櫻工舎
用途:専用住宅
敷地:神奈川県藤沢市
敷地面積:141.69m2
建築面積:64.59m2
延床面積:114.27m2
構造:木造2階建
竣工:2017年6月
写真:太田拓実